「なんかパソコン、最近重くなってきたな……」
Zoomの画面が固まったり、Excelを開くたびにクルクルが回り続けたり。
買い替えを考える前に、まず試してほしいのがメモリ増設です。
費用は数千円〜、作業時間は慣れれば30分ほど。コスパはかなりいい。
ただ、今すぐドライバーを手に取るのはちょっと待ってください。
2026年現在、「そもそも増設できないタイプ」のノートPCがどんどん増えています。
手順より先に確認しなければならないことがある。
この記事では、増設前の確認から実際の手順、失敗時の対処法、そして「増設か買い替えか」の判断フローまで、順番に解説します。
この記事でわかること
- 増設前に必ずオンボード確認を行う
- 静電気対策と向きを守れば失敗しない
- 増設不可なら買い替え判断基準で決める
まず確認!あなたのノートPCはメモリ増設できるの?
メモリ増設で一番やってはいけない失敗が、「対応メモリを買ったのに、自分のPCはそもそも増設できないタイプだった」というケースです。
費用も時間も無駄になります。作業に入る前に、まずここを確認してください。
オンボードメモリとSO-DIMMの違いを理解しよう
ノートPCのメモリには、大きく2つのタイプがあります。
| タイプ | 構造 | 増設の可否 |
|---|---|---|
| SO-DIMM(スロット式) | 差し込み式のスロットに装着されている | 増設・交換が可能 |
| オンボード式 | チップが基板に直接ハンダ付けされている | 取り外し・交換ともに不可 |
オンボード式は本体を薄くできる・消費電力が少ないという理由から、薄型・軽量モデルを中心に採用が増えています(出典:NEC LAVIE公式|メモリを増設するときの注意点)。
2025〜2026年にかけては、HP SpectreやDell XPSなど人気モデルもオンボード化が進みました。
仕様書に「オンボード」「LPDDR5オンボード」と明記されていたら、物理的に増設はできません。
ここの確認が、すべての出発点です。
5分でわかるスペック確認方法(購入済みPCの場合)
手元にあるPCが増設できるかは、以下の3つの方法で調べられます。
方法①:タスクマネージャーで確認(Windows)
Ctrl + Shift + Escでタスクマネージャーを起動- 「パフォーマンス」タブ → 「メモリ」を選択
- 右下の「スロットの使用」を確認(「1/2」なら空きスロットあり)
オンボードメモリでも「1/1」と表示されることがあるため、これだけで判断するのは危険です。
あくまで補助的な確認として使いましょう。
方法②:PowerShellコマンドで確認
PowerShellを管理者権限で開き、以下を実行します。
Get-CimInstance Win32_PhysicalMemory | Select-Object FormFactor, Capacity, Speed
FormFactor が 12(SO-DIMM) ならスロット式で増設可能、0(不明) ならオンボードの可能性が高いです。
方法③:メーカー公式サイトで型番検索(これが一番確実)
NEC・Lenovo・HP・Dellなどは製品ページに詳細な仕様表を掲載しています。
型番で検索してメモリ欄を見るのが、最もミスのない方法です。
どの方法で確認するにしても、「まず調べてから買う」この順番だけは守ってください。
増設できない場合の選択肢【独自】
「自分のPCはオンボードだった……」とわかったとき、完全に手詰まりではありません。
今すぐできる対処(費用0円)
- 仮想メモリを増やす:「システムの詳細設定」→「パフォーマンス」→「詳細設定」→「仮想メモリ」で設定可能。SSD搭載なら体感がある程度改善されます
- ChromeのメモリセーバーをONにする:設定→パフォーマンスで有効化でき、使っていないタブのメモリを自動で解放してくれます
- スタートアップアプリを止める:タスクマネージャーの「スタートアップ」タブから不要なアプリを無効化し、起動時の消費メモリを削ります
これらはあくまで応急処置です。
「PCが遅い根本原因と対処法」については、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
買い替えを検討する場合
根本解決には買い替えが必要です。
その際は最初から16GB以上を搭載したモデルを選びましょう。
MicrosoftのCopilot+ PCの最低要件はRAM 16GBとされており(出典:Microsoft公式)、2026年の新製品選びにおける実質的な標準ラインになっています。
企業・法人支給のPCを使っている方はもう一点注意が必要です。
IT管理部門の許可なく内部改造を行うと、就業規則違反になるケースがあります。
作業前に確認を取ってください。
増設前に必ず揃えよう!メモリの選び方と準備物
増設できることが確認できたら、次は「何を買うか」です。
ここで規格を間違えると、購入したメモリがまったく使えない事態になります。
ノートPC用メモリの規格と選び方(DDR4・DDR5・LPDDRの違い)
ノートPC用メモリは SO-DIMM という小型規格でなければなりません。
デスクトップ用のDIMM規格はサイズが異なり、物理的に挿入できません(出典:NEC LAVIE公式)。
主な規格の違いをまとめました。
| 規格 | 特徴 | 増設可否 |
|---|---|---|
| DDR4 SO-DIMM | 現在も多く流通・価格安定 | 可能 |
| DDR5 SO-DIMM | 最新・高速だが2025〜2026年は価格高騰中 | 可能 |
| LPDDR5(オンボード) | 省電力・薄型向けで基板直付け | 不可 |
現在のPCがDDR4ならDDR4を、DDR5ならDDR5を選ぶ必要があります。
世代が違うと物理的に挿さりません(出典:NEC LAVIE公式)。
2025年後半からDDR5の価格が急騰しており、以前の2〜4倍になっている製品もあります。
DDR4世代のPCを持っているなら、今が安く増設できるタイミングです(出典:OcWorks|メモリ価格が急騰中:2025年の値上がり原因と今後の見通し)。
規格の確認は購入前に必ず済ませてください。
返品・交換の手間が省けます。
メモリ容量の目安は用途で変わる
「何GBにすればいいの?」という疑問に、正解は一つではありません。
- 8GB:Webブラウジングと軽い書類作成のみならギリギリ
- 16GB:ZoomやTeams利用、ブラウザタブを10個以上開くなら推奨
- 32GB以上:動画編集・3Dゲーム・大量データ処理をするなら必須
また、同じ容量でも「2枚構成(デュアルチャンネル)」で装着するとメモリの帯域幅が広がり、特にゲームや動画編集で体感差が出やすくなります。
「8GB×2枚=16GB」は「16GB×1枚」よりもデータの転送効率が高い構成です(出典:NEC LAVIE公式)。
メモリ8GBと16GBで実際に何が変わるか詳しく知りたい方は、こちらの比較記事が参考になります。
作業前に揃える道具リスト【独自】
道具なしで始めると、途中で必ず詰まります。事前に揃えておきましょう。
必須の道具
- 精密ドライバー(プラス・マイナス):裏蓋のネジサイズに合ったもの(多くはJIS #0または#1サイズ)
- 静電気防止手袋 または 放電バンド(ESDバンド):静電気による基板破損を防ぐために外せない。ホームセンターや家電量販店で500〜1,500円程度で買えます
あると作業が楽になるもの
- プラスチック製ヘラ・開腹ツールキット:裏蓋を傷つけずに開けるために有効。Amazonで1,000〜2,000円程度のセットがあります
避けるべき作業環境
- 濡れた手での作業(水分が電子部品を壊す)
- カーペットや布の上(歩くだけで数千ボルトの静電気が発生する)
- 裸足でのフローリング作業(静電気が溜まりやすい)
乾燥した机の上で、道具を揃えてから始めるのが失敗しないコツです。
【手順解説】ノートパソコンのメモリ増設・9ステップ
ここからが本番です。
9つに分けて、一つずつ丁寧に進めていきましょう。
STEP1〜3:電源OFF・静電気除去・裏蓋開け
STEP 1:完全シャットダウン
「スタート」→「電源」→「シャットダウン」で完全に電源を落とします。
スリープや休止状態ではダメです。
シャットダウン後は30秒以上待ってから作業に入り、ACアダプタも抜いておきましょう(出典:パソコン修理店4900|メモリ増設で失敗しないやり方を徹底解説)。
STEP 2:静電気を逃がす
水道の蛇口など金属部分に両手で触れて、体の静電気を放電します。
静電気防止手袋がある場合はここで装着してください。
STEP 3:裏蓋を開ける
底面のネジをすべて外します。ネジの種類と長さごとにテープで貼り付けてメモを残しておくと、組み立て時に迷いません。
ネジが外れたらプラスチックのヘラで裏蓋の隙間をそっとこじ開けます。
力任せにやると爪が折れるので、少しずつ進めてください。
3ステップが終わったら、いよいよメモリに触れる作業に入ります。
STEP4〜6:メモリの取り外しと装着
STEP 4:メモリスロットの位置を確認
裏蓋を開けると、基板上に斜めに刺さった小さな部品が見えます。
それがメモリです。場所がわからなければ、メーカーの分解マニュアル(多くは公式サイトにPDFで掲載)を参照しましょう。
STEP 5:既存メモリの取り外し(交換が必要な場合)
スロット両端の金属クリップを左右に静かに押し広げると、メモリが30〜45度ほど浮き上がります。
その角度のまま、ゆっくり引き抜いてください(出典:dynabook|ノートパソコンのメモリ増設方法と手順)。
STEP 6:新しいメモリを装着する
新しいメモリには切り欠き(ノッチ)があります。スロットの突起と切り欠きの位置を合わせ、斜め30〜45度の角度で差し込みます。
そのまま水平になるよう押し下げると「カチッ」という感触でクリップが閉じます(出典:CFD Storage|パソコンのメモリ増設方法をわかりやすく解説)。
クリップが片側だけ閉じていない状態は接触不良の原因になります。
必ず両側を確認してから次へ進みましょう。
STEP7〜9:組み立て・起動・認識確認
STEP 7:裏蓋を閉める前の確認
ケーブルが挟まっていないか、他のパーツが外れていないかを目視で確認します。
この一手間が、「起動しない」というトラブルを防ぎます。
STEP 8:電源を入れる
ACアダプタを接続して電源ボタンを押します。
Windowsが正常に起動すれば、ひとまず成功です。
STEP 9:認識されているか確認する
タスクマネージャー(Ctrl + Shift + Esc)→「パフォーマンス」→「メモリ」で、表示容量が増えていることを確認します。
BIOS画面でも確認したい場合は、起動直後にメーカーごとのキー(F2・Del・F12など機種によって異なります)を押して入ってください(出典:ビックカメラ|ノートパソコンのメモリを増設する方法)。
容量が正しく増えていれば、メモリ増設は完了です。
増設後にトラブルが起きたときの対処法
うまく動かないときは、焦らずに以下の順番で確認してください。
PCが起動しない・画面が真っ暗になった場合
原因の9割は「メモリの接触不良」です。次の順番で対処しましょう。
- 電源を切り、メモリを差し直す(「カチッ」という感触まで押し込む)
- それでも起動しなければ元のメモリに戻して確認し、新しいメモリとの相性問題かどうかを切り分ける
- BIOS設定が飛んだ場合は、メーカーマニュアルでCMOSクリアの手順を確認する
「画面が映らない→よく見るとクリップが片側だけ閉じていなかった」というケースは実際に多いです(出典:パソコン修理店4900)。
再起動が終わらない・起動ループが続く場合は、こちらのトラブル記事も参照してください。
まず「接触不良」を疑うことが、一番早い解決への近道です。
メモリが正しく認識されない場合【独自】
タスクマネージャーの容量が増えていない場合は、次の3点を順番に確認してください。
- 「システムのプロパティ」の搭載RAM表示と一致しているか:
Win + Pause/Breakで確認でき、ここの数値がBIOSと違う場合はOS側の設定問題の可能性がある - BIOSでの認識容量も確認する:WindowsとBIOSで数値が違うならOS設定を見直す
- 互換性チェッカーで相性問題を調べる:Crucialなど主要メーカーのサイトで、購入したメモリが自分のPCに対応しているか確認できる
メモリには「相性問題」があります。
互換性リスト外の製品を使っている場合は、対応品への交換が最も確実な解決策です(出典:わかラン.net)。
「増設の手順は合っているのに認識されない」という場合、作業ミスより相性問題を先に疑いましょう。
増設 vs 買い替え|2026年版・コスパ最優先の判断フロー
「どっちが正解なの?」という疑問に、正直に答えます。
メモリ増設が「コスパ最高」なケース
次の条件がすべて当てはまるなら、増設が断然お得です。
- PCが購入から3〜5年以内
- SSDを搭載している(HDDはボトルネックになりやすい)
- メモリスロットに空きがある
DDR4メモリは現在も価格が安定しており、16GBのSO-DIMMが5,000〜8,000円程度で買えます。
5万円のPCに8,000円かけてあと2〜3年使えるなら、悪くない選択です(出典:OcWorks)。
DDR5価格が高騰している今、DDR4世代のPCなら増設を先延ばしにする理由はありません。
ノートパソコンの寿命と買い替えタイミングを詳しく確認したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
買い替えが正解なケース【独自】
一方、次のケースなら増設より買い替えを検討してください。
物理的に選択肢がない場合
- 仕様書に「オンボード」と明記されていて増設不可
- スロットはあるが、PCの最大対応メモリが現在と変わらない
コスパが合わない場合
- 購入から6年以上経過している:CPUが現代のソフトウェアについていけず、メモリを増やしても体感がほぼ変わらない
- タスクマネージャーのCPU使用率が常に90〜100%に張り付いている:メモリではなくCPUが限界に達しているため、根本解決にならない
2026年に新しく買うなら
最初から32GB搭載モデルを選ぶのが、一番シンプルな正解です。
増設のコストも手間もリスクもゼロになります。
2026年の新製品はCopilot+ PC対応モデルを中心に16〜32GBが標準になりつつあります。
新モデルを探している方は、こちらのノートPC選び方記事が参考になります。
「増設できるか」「コスパは合うか」この2軸で判断すれば、迷わず動けます。
まとめ
この記事で伝えたかったことを3つに絞ります。
- 🔍 作業の前に「増設できるか」を確認する:仕様書のメモリ欄に「オンボード」と書かれていたら物理的に増設不可。タスクマネージャーやPowerShellコマンドでスロット状況を確認してから次のステップへ進むこと
- 🔧 失敗しない鍵は「静電気対策」と「切り欠きの向き確認」:この2点さえ守れば、初心者でも十分に作業できます。終わったらタスクマネージャーで認識容量を必ず確認しましょう
- 💡 増設できない場合は「買い替え判断フロー」で決める:2026年現在、オンボードモデルは急増中です。「増設できる前提」で動くと痛い目に遭います。購入年数・CPU使用率・用途をセットで判断し、最適な選択をしてください
